アイリスト
まつ毛の長さやボリュームを調整できて、メイクの負担も軽くなるまつ毛エクステ。しかしまつ毛エクステの施術には、様々なトラブルが起こるリスクが伴います。ここでは、まつ毛エクステによるトラブルにはどういったものがあるのか、それを予防するにはどうすればいいのか、詳しく解説します。

【1】まつ毛エクステを原因とする様々なトラブル

まつ毛エクステは、高度な技術が要求される施術です。またエクステを接着するときに使うグルーには、アレルギー反応を引き起こす可能性がある成分が使われています。そのため技術力の乏しいアイリストに施術をされたり、施術のやり方を間違えたり、アレルギー体質であったりすると、以下のようなトラブルが起こる可能性があります。

(1)接着剤によるアレルギー症状

まつ毛エクステの施術には専用のグルーを使うのですが、これは、合成接着剤の一種である「シアノアクリレート」を主成分としています。シアノアクリレートには非常に優れた接着効果があるのですが、乾燥するときにホルムアルデヒドを蒸散します。
ホルムアルデヒドはアレルゲンになることがある揮発成分で、これに体内の免疫機能が反応してしまうと、以下のようなアレルギー症状が引き起こされる可能性があります。

・目や鼻への刺激感
・涙が出る
・くしゃみ
・鼻水
・肌のかゆみ
・肌の赤み
・まぶたの腫れ

アレルギー症状は施術中・施術直後にあらわれるとは限らず、数日経過してから発現することがあります。また、施術の度にアレルゲンが蓄積されていき、許容量を超えたときに突然症状が現れるケースもあるようです。

(2)自まつ毛が抜けたり切れたりする

まつ毛エクステは、グルーを使い自まつ毛にエクステを接着する形で施術を行います。そのため自まつ毛にはグルーによる負担がかかってしまいますし、自まつ毛1本につきエクステ1本分の重さが加わるため、これによる負担もかかってきます。
そしてこういった負担が蓄積されると、自まつ毛が切れやすくなったり、抜けやすくなったりするのです。

(3)結膜炎や角膜炎などの眼疾患

グルーに含まれる成分によって目に強い刺激が与えられたり、エクステが取れて目に入ったりした場合、結膜炎や角膜炎といった眼疾患を発症する可能性があります。
またエクステの接着部分に細菌やカビが繁殖し、これがブドウ膜に侵入した場合、ブドウ膜炎を引き起こすこともあります。ブドウ膜炎になると目が本来の機能を発揮できなくなり、最悪の場合は失明してしまいます。

もちろん、失明するほどの眼疾患になるのは極めて稀なことですが、まつ毛エクステがこのように深刻なトラブルを引き起こすことがある、ということは覚えておくようにしましょう。

(4)チクチク感や違和感

まつ毛エクステの施術を受けた後は、多くの方が目元に違和感を覚えます。これまで何もついていなかったまつ毛にエクステを接着するのですから、無理もないでしょう。
しかし、同じ違和感でも以下のような症状がある場合、まつ毛エクステによって目や肌が傷ついている可能性があります。

・目を閉じるとチクチクする
・以前と同じように「まばたき」できない
・目を大きく開くとチクチクする
・まつ毛の生え際に痛みがある

まつ毛エクステは、皮膚から少し離れたところに接着します。しかし、エクステと皮膚の距離が近すぎる場合、目を動かすことによってエクステが肌に刺さり、チクチクすることがあるのです。
また、施術から時間が経つとエクステが剥がれたり絡まったりしやすくなるのですが、こういったまつ毛エクステの劣化も、チクチク感や違和感の原因になります。

(5)施術時に肌が傷つく

まつ毛エクステの施術では、「ツイーザー」を使用します。
一般的なツイーザーであれば少し肌に触れたからといって大きな問題にはならないのですが、まつ毛エクステ用のものは極細のエクステを確実にキャッチするため、先端が細く鋭利な形状になっています。
そのため施術中にツイーザーが肌に触れると、皮膚を傷つけてしまうのです。そしてその傷から細菌や雑菌が侵入すると、炎症を起こすこともあります。

施術中にツイーザーで肌を傷つけられることはまずありませんが、技術力の乏しいアイリストや経験の浅いアイリストが施術した場合、こういったトラブルが起こる可能性が考えられます。

 

【2】まつ毛エクステによるトラブルを防ぐ方法は?

まつ毛エクステには、グルーによるアレルギー反応や自まつ毛への負担、眼疾患など、様々なリスクが伴います。では、このようなトラブルを防いで安全にまつ毛エクステの施術を受けるには、どうすればいいのでしょうか。

(1)セルフでの施術は絶対にやめよう!

まつ毛エクステの施術に使用するグルーやエクステは、ネットショップなどで誰でも購入することができます。材料を自分で購入すればサロンで施術を受ける場合に比べてかなり安くまつ毛エクステをすることができるため、セルフで施術をする方が少なくありません。

しかし、セルフでの施術は絶対にやめましょう。

まつ毛エクステの施術は、エクステを皮膚からわずかに離しつつ自まつ毛に1本ずつ接着していく…、という非常に繊細な作業の連続です。これをセルフで施術するというのはプロでも至難の業ですし、技術も知識もない素人が施術をした場合、エクステが歪んだり、グルーが皮膚に付着したり、グルーをつけたエクステが目の中に入ってしまったり…といった失敗が予想されます。

上述のようにグルーやエクステは目に入ると様々な眼疾患を引き起こしたり失明したりする可能性があるものですので、こういったことが起こりやすいセルフでの施術は、非常に危険なのです。

(2)体調が悪いときの施術は控える

アレルギー反応が出るかどうかは、その日の体調によって変わることがあります。体調が悪い日は体の抵抗力が落ちているため、いつもは何でもないような刺激が体にとって大きな負担となってしまうのです。

これまでまつ毛エクステによるアレルギー症状の経験がないという方も、体調が悪いときや生理中、病み上がりなど抵抗力が落ちているときは、施術を控えるようにしましょう。

(3)施術前後に目薬を使わない

グルーの主成分であるシアノアクリレートは、水分やアルカリ性の液体に触れることで化学反応を起こし、熱を生じさせます。目薬にはアルカリ性の成分が含まれていますので、施術前に目薬を使ったり、施術直後に目薬を使ったりすると、その成分とグルーに含まれるシアノアクリレートが反応し、熱を生じさせて火傷してしまう可能性があります。

グルーが完全に硬化するまでの時間はその種類によって異なりますので、施術を受けたサロンにグルーの完全硬化時間を確認し、その間は目薬を使わないようにしましょう。

(3)違和感がある場合は迷わずオフ!

まつ毛エクステの施術には、7,000円~15,000円程度の費用がかかります。そのため施術後に違和感を覚えても、「もったいないから」という理由で我慢してしまう人が少なくありません。
しかしその違和感がアレルギー症状や目を傷つけるようなものである場合、放置していると重篤な眼疾患を引き起こしてしまう可能性もあります。

施術を受けた後になんらかの違和感を覚えた場合は迷わずサロンに連絡し、オフしてもらうようにしましょう。

 

【3】重要なのはサロン選び!チェックすべきポイントはこの6つ

まつ毛エクステの安全性は、サロンの方針や施術を担当するアイリストの技量に大きく左右されます。そのため施術を受けるサロンは、慎重に選ぶようにしましょう。具体的には、以下のような点について確認しておくことをおすすめします。

(1)施術担当者は美容師免許をもっているか

まつ毛エクステは、法律上の「美容行為」に分類されます。そのためこの施術は、国家資格である「美容師免許」を持った人しか行えません。また施術場所であるサロンについても、保健所で「美容所登録」をしておく必要があります。

ところがまつ毛エクステサロンの中には、美容師免許を持たない人が施術を担当しているところ多数存在します。また、美容師免許取得者が一人しかおらず、実際に施術をしているのは「アシスタント」の名札をつけた美容師免許を持たない人、なんてサロンもあるようです。
美容師免許を持たない人は衛生管理や安全性への配慮などに関する知識が乏しく、トラブルが起こるリスクが高くなります。施術者全員が美容師免許を持ち、サロンも美容所登録をしているところはHPや店内にその旨を表示していますので、事前に確認するようにしましょう。

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(2)カウンセリングを重視しているサロンか

まつ毛エクステは、目の形、まつ毛の量・長さ・カール角、体質などを見極めながら施術しなければなりません。そしてこれらの情報を得るためには、丁寧なカウンセリングが必要不可欠です。

カウンセリングに関するサロンの方針についてはHPやブログで確認できますので、肌の状態について確認してくれるのか、まつ毛の状態をしっかり見極めてくれるのか、その日の体調に配慮したうえで施術の可否を判断してくれるのか、といった点について、しっかり確認しておくようにしましょう。

最近は施術前のカウンセリング時にパッチテストをするサロンも増えていますので、そういったところならばより安心して施術を受けられるかと思います。

(3)どんなグルーを使っているのか

まつ毛エクステに使うグルーに含まれる「シアノアクリレート」には、以下のように様々な種類があります。

・エチルシアノアクリレート
・エトキシエチルシアノアクリレート
・ノルマル‐ブチルシアノアクリレート
・ノルマル‐オクチルシアノアクリレート

これらのうち「エチル系」のシアノアクリレートはホルムアルデヒドの放散量が多く、アレルギー反応が起こるリスクが高いことがわかっています。これに対して「ブチル系」のシアノアクリレートのホルムアルデヒド放散量は、エチル系のものほど多くありません。
また、ノルマル‐オクチルシアノアクリレートは、ホルムアルデヒドをほとんど放出しない成分として注目されています。

ホルムアルデヒドの放散量が少ないグルーは値段が高いため、これを使っているサロンの施術料金はどうしても高くなりがちです。しかし、目の安全には変えられませんので、サロン選びをする際は施術料金の安さだけでなく、どのようなグルーを使っているのか、安全性にはどのくらい配慮しているのか、といった点についても確認するようにしましょう。

(4)アフターケアについて説明してくれるサロンか

まつ毛エクステによるトラブルを防いだり、もちを良くしたりするためには、適切なアフターケアが必要です。
グルーの接着力を弱める皮脂や汗からまつ毛を保護したり、施術前後の目薬の使用を控えたり、定期的なリペアをしたり…といったことはもちろん、普段の生活の中でも気を付けるべきことがいくつかあるのです。

サロン選びをするときは、こういったアフターケアについてきちんと説明してくれるかどうか、という点も重視するようにしましょう。

(5)保証制度は用意されているか

最近は、施術から一定期間内であれば無料でオフや付け直しをしてくれるなど、保証制度を整備するサロンが増えつつあります。
保証制度があれば、トラブルが起こった場合やまつ毛エクステが合わなかった場合でもしっかり対応してもらえるため、安心して施術を受けることができます。

(6)まつ毛の状態に合ったデザインを提案してくれるか

施術で使用するエクステは、まつ毛の状態に合ったものを選ばなければなりません。細くて弱いまつ毛に太くてカール角の大きいエクステをつけると、自まつ毛への負担が大きすぎてエクステが外れたり歪んだりしやすくなるのです。

サロン選びをするときは、自まつ毛の状態に合ったデザインを提案してくれるのか、という点についてもチェックしておくことが大切です。

 

さいごに

まつ毛エクステには、アレルギー症状や自まつ毛・肌への負担、眼疾患など、様々なトラブルが起こるリスクが潜んでいます。ただしこれらのリスクは施術前後の適切なケアや入念なサロン選びによって、ある程度回避することが可能です。まつ毛エクステの施術を検討している方は、信頼できるサロン選びから始めてみてはいかがでしょうか。