コンテンツのタイトルやチラシの見出しなど、様々な場面で用いられるキャッチコピー。注意深く見てみると、大企業のものから個人商店のものまで、巷にはキャッチコピーがあふれていますよね。では、集客や売上UPに効果的なキャッチコピーは、どのように作ればいいのでしょうか。ここでは、人の心をつかむキャッチコピーの作り方についてご紹介します。
【1】キャッチコピーってなに?定義は?
様々な場面で見かける、キャッチコピー。カタカナ表記を見ると英語圏由来の言葉のように思えますが、実はキャッチコピーは和製英語で、日本で作られた言葉なのです。
(1)キャッチコピーに明確な定義はない
では「キャッチコピー」とは、具体的にどういったものを指すのでしょうか。キャッチーなコピーのことを言うのでしょうか?それとも、なにか別の意味があるのでしょうか?
実はキャッチコピーには、これといって明確な定義がありません。
「商品広告」という意味で使われることもありますし、「宣伝文句」「煽り文句」「うたい文句」といった意味で使われることもあります。企業の中には、キャッチコピーを自社のスローガンのようにして使っているところもあります。
またその形式や文字数などについてもこれといった決まりはなく、単語をつなげているだけのものもあれば文章のようになっているものもありますし、1行だけのものから3行構成のものまで、その表示形式も実に様々です。
(2)キャッチコピーが担う役割とは
表示形式や文字数はもちろん、その使い方にいたるまでかなり自由度の高いキャッチコピー。では、キャッチコピーを使うと、具体的にどのような効果が得られるのでしょうか。
見込み客に広告を「見たい」と思わせる
チラシやダイレクトメール、ホームページ、ブログ…。商品やサービスをアピールするための媒体にはいろいろな種類がありますが、どのくらいの人が、ここに掲載されている宣伝文句を読んでくれているでしょうか。誰もが知っているような大企業の商品・サービスであればともかく、名もない小さな会社の広告を丁寧に読んでくれる人など、ほとんどいないのが実情でしょう。
そこで大きな役割を果たしてくれるのが、「キャッチコピー」です。キャッチコピーは広告の中で、最も人の目を引く部分です。キャッチコピーで人を惹きつけられれば、「もっと詳しく知りたい」と思わせ、広告を読み進めてもらうことができます。
つまりキャッチコピーには、人の目を引きつけ興味を抱かせる役割があるのです。商品やサービスが売れるかどうかは、キャッチコピーにかかっているといっても過言ではありません。
【2】キャッチコピーを作る前にやるべきこと5つ
大企業の「キャッチコピー」を見ると、自分もカッコいいものを作らなければ、他に例がないようなものを作らなければ、と思ってしまいがちですよね。しかし、キャッチコピーの役割は、「人を引きつける」ことにあります。そのためキャッチコピーを作るときはカッコよさだけを考えるのではなく、いかに人の興味を惹くことができるか、という点を重視するようにしましょう。そこでまず行っていただきたいのが、以下に紹介する5つの下準備です。
(1)自社の課題を分析する
キャッチコピーを作るときはまず、自社が抱える課題を分析することから始めてみましょう。
例えばあなたが、ネイルサロンを経営しているとします。土日は沢山のお客様に来店してもらえるのに平日はほとんど予約が入らないという場合、自社の課題は「平日の客数を増やすこと」となります。
解決すべき課題をできるだけ細かく分析すると、その後のターゲット設定やアピールポイント設定をスムーズに進められるようになります。
(2)課題を解決するための対策を考える
自社が抱える課題がハッキリしたら、次はそれを解決するための対策について考えてみましょう。
上で挙げたネイルサロンの例でいうと、なぜ平日にサロンに来る人が少ないのか、という点について検討してみます。
- 平日は仕事をしている人が多く、予約が土日に偏ってしまいがち
- 仕事終わりに施術が受けられるサロンを探している人はいる
- 競合店に平日夜遅くまで営業しているところがあり、お客様がそちらに流れてしまっている
こうしてひとつひとつ検討していくと、課題を解決するためにどのような対策をとればいいのかが少しずつ見えていきます。
「平日の客数を増やす」という課題に対しては、「平日夜の営業に力を入れる」という対策が功を奏しそうです。
(3)ターゲットをできるだけ細かく定める
さて、課題とそれを解決するための対策が決まったら、次はターゲットを絞り込んでいきましょう。商品やサービスを「誰に」アピールしたいのか、できるだけ細かく決めていくのです。ターゲットの選定はリスクの高い行為にも思えますが、万人受けするキャッチコピーよりも、特定の人を強烈に引きつけるようなキャッチコピーの方が、集客に関しては高い効果が期待できます。
上で挙げたネイルサロンの例でいくと、ターゲットとしては以下のような人がいいでしょう。
- 30代~40代の女性
- 仕事帰りに行けるネイルサロンを探している
- 平日の夜に営業しているネイルサロンを探している
- お洒落に関心があり、自分磨きが好き
- お洒落にある程度のお金をかけられる
- 仕事もプライベートも充実させていたい
このくらいまで細かくターゲット設定をしておくと、キャッチフレーズが浮かびやすくなってきます。
(4)アピールポイントを決める
ターゲットを絞り込んだら、次はアピールポイントを決めましょう。
表現方法や使用する文言については後で考えたのでかまいませんので、まずはターゲットに対して伝えたいことをひとつずつ書き出してみます。
- 平日の夜も営業している
- 18時以降の予約も歓迎
- 仕事帰りにネイルの施術が受けられる
- 土日よりもお得に施術が受けられる(平日割引を導入している場合)
- 大人女子にピッタリなデザインを提案してもらうことができる
- 1級ネイリストが在籍している
思いつく限りのアピールポイントを書きだしたら、最初に検討した課題とその解決策に照らし合わせてみましょう。すると、メインとなるキャッチコピーでアピールすべきポイントが見えてきます。
この事例では、「平日の夜も営業していること」「仕事帰りに施術が受けられること」をキャッチコピーでアピールするといいでしょう。
(5)ターゲットの気持ちになってみる
ターゲットやアピールポイントが見えてきたら、ここで一度、ターゲットの気持ちになってみましょう。30~40代の働く女性になりきり、どんなキャッチフレーズに興味を持つのか、どんな表現ならば心に響くのか、真剣に考えてみるのです。
この作業はキャッチフレーズの集客効果を高めるうえで非常に重要なものですので、必ず行うことをおすすめします。
【3】より効果的な表現方法とは?キャッチコピー作りのポイント
ひととおりの準備ができたら、いよいよキャッチフレーズ作りの始まりです。ここからは人の興味を惹くための表現方法や使用するフレーズ、文字数などについて考えていかなければなりません。では、人の興味を惹くキャッチフレーズには、どのような特徴があるのでしょうか。
(1)キャッチコピーは短く簡潔に
キャッチコピーは、できるだけ短く簡潔なものにしましょう。理由はいたってシンプルで、短い方が読んでもらえる確率が高くなるからです。
そもそもキャッチフレーズは、人の目を引いて広告を「読もう」と思わせるためのものです。そのため長くてわかりにくいキャッチフレーズでは、人の目にとまりにくくなってしまいます。
キャッチフレーズを作るときはアピールポイントを書き出し、削れる部分がないか考えてみましょう。
アピールポイントが「平日の夜も営業していて、仕事帰りに施術を受けることができます」ということなのであれば、余分な部分を限界まで削り、
「仕事帰りなど、平日の夜も施術を受けることができます」
↓
「平日の仕事帰りに施術を受けることができる」
というところまで短くしていくのです。
(2)キャッチコピーはリズム感が命
キャッチコピーを考えるときは、そのリズム感についても意識してみましょう。
例えば人気牛丼チェーン「吉野家」のキャッチフレーズを見てみると、「はやい・やすい・うまい」となっています。
わかりやすく簡潔なのはもちろん、3文字ずつ、リズムよく読むことができますよね。
リズム感のあるキャッチフレーズは目だけでなく耳にも残りますので、より記憶に残るアピールをすることができます。
(3)未来像をイメージできるフレーズを使う
キャッチフレーズには、未来像をイメージできるようなフレーズを使うことをおすすめします
上で挙げた、ネイルサロンの例に沿って考えてみましょう。ネイルサロンに来店するお客様は、ネイルをしたくて、あるいはサロンに行きたくて来店しているわけではありません。ネイルサロンに行くこと、ネイルをすることはお客様にとって「手段」にすぎず、本当の目的は「お洒落をしたい」「ネイルを褒めてもらいたい」「ネイルサロンに通っている自分が好き」といったところにあるのです。
そのためキャッチフレーズをつくるときはネイルサロンや施術内容についてだけアピールするのではなく、ネイルの施術をした結果どのような未来が待っているのか、具体的にイメージできるようなフレーズを盛り込んでいくことが大切です。
(4)数字を取り入れる
キャッチコピーには、数字を取り入れてみるのもおすすめです。
数字には正確さや明確さを強くアピールする効果があるため、人の目を引きつけやすくなるのです。
「99%の日本人が知っている!」
「顧客満足度98%以上!」
「日本企業の78%が導入!」
といった感じで具体的な数字を入れると、リアリティーが増しますし、インパクトも強くなりますね。
【4】ライバルに差をつける!人の目を引くキャッチコピー作りのコツ
競合店に差をつけるには、より人の目を引くキャッチコピーを作る必要があります。では、より良いキャッチコピーを作るには、どうすればいいのでしょうか。ここからは、ライバルに差をつけるキャッチコピー作りのコツについて見ていきましょう。
(1)逆説や比較をつかったキャッチコピー
キャッチコピー作りには、逆説や比較を取り入れてみるのもおすすめです。「○○よりも△△」というように相対するものを比較してみたり、「○○、でも△△」というように逆説的な表現を使ってみたりするのです。
こういったキャッチフレーズには読み手に対して強いインパクトを与え、広告に対して興味を抱かせる効果が期待できます。
(2)聞き慣れない言葉を使ってみる
キャッチフレーズを作るとき、多くの人は耳なじみの良い言葉ばかりを使い綺麗にまとめようとしがちです。もちろんそれが間違いというわけではないのですが、そういったキャッチフレーズはインパクトが弱く、見逃されやすくなります。
造語であっても意味がわかれば問題ありませんので、キャッチフレーズを作るときは思い切って、聞きなれない言葉を使ってみてはいかがでしょうか。
(3)発信者を変えてみる
キャッチコピーの多くは、自分が発信者となって作られたものです。
例えば以下のようなキャッチコピーは、発信者がネイルサロンになっています。「仕事帰りはネイルで決まり!お洒落女子は平日夜に可愛くなる」
そしてこの発信者をターゲットに変えてみると、以下のようになります。
「平日夜、私は可愛くなるの!仕事を頑張ったご褒美はネイルで決まり!」
アピールポイントは同じですが、発信者を変えるだけで全体の雰囲気やキャッチフレーズが与えるイメージが大きく変化しますよね。競合店とキャッチフレーズがかぶってしまうとき、自社のキャッチフレーズを埋もれさせたくないときは発信者を変えてみるといいでしょう。
さいごに
キャッチフレーズは、人の目を引きつけて公告に対する興味を抱かせる、重要なものです。そのためキャッチフレーズを作るときは、その見た目やカッコよさだけを気にするのではなく、課題の検討やターゲットの絞り込み、アピールポイントの設定といった準備を十分にしたうえで、ターゲットの気持ちになってみることが大切です。ここでご紹介したキャッチフレーズ作りのテクニックは比較的簡単に実践できるものばかりですので、皆様も早速試してみてはいかがでしょうか。